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3月29日 「白鳥・三三 両極端の会 vol.11」

 パーコレーター。持っていないのだが、桜の時期になると、これで淹れたコーヒーが無性に飲みたくなる。もう何年も前の4月、会社員を辞めてフリーになったとき、最初に仕事をした事務所の社長がパーコレーター派だった。打ち合わせで訪ねるたびに、自らキッチンに立ち、サラっとしたアメリカンなコーヒーをいれてくださる。既に世の中はスタバ流行りで深煎りが主流だったのだが、真逆な浅煎り粗挽きさっぱりコーヒーは喉に快く、マグカップでごくっといけたのも長い作業中には嬉しかった。ただマシンではなく直火調節で淹れるものだから、誰が淹れても美味しくできるというものではない。

パーコレーター。そんなに高いものでもないし、買ってもいいんだけど、もう台所にコーヒー関係器具が溢れすぎて、これ以上増やすと怒られそう・・・。

 「両極端の会」11回目。一年ぶりの紀伊国屋ホールは満員御礼。キャンセルが出たらしく当日券販売があったようだが、開場時にはもうなくなっていた。

●オープニングトーク

 白鳥、この会の前に恒例の昇太プロデュース「下北沢演芸祭」に出た際、キセルを使う仕草で喬太郎からダメ出しをもらったとのこと。「アニさんダメだよ! (火皿に煙草を詰めた後)火をつけずにいきなり吸ってるじゃないか!」・・・「それは衝撃的だ」と三三も云っていたが、まあ白鳥だからね・・・って聞き流していいんだろうか。前回から開催タームが年に一度になった為、お互いに次回への宿題を出し合うというスタイルに。今回の宿題は

    白鳥→三三「オレの新作の中で落語家が主人公の作品を演る」

    三三→白鳥「アニさんの文七元結が見たい」

●白鳥「文七元結」(女性版)

 オープニングトークで白鳥から例のごとく淡々と「喬太郎の人気がいかにすごいか」という話。喬太郎が(三三や一之輔のような)太い客筋で完売になる定期的な独演会を基本行わず、そのうえで馬桜と一緒のケニーズ(先ごろ閉店した)寄席など場所を選り好みせずに出ているということなど。聞いている三三が「じゃあアニさんがいま一番落ち着ける・・・もしくはイヤな会って何ですか」と振って、返ってきた「イヤっていうか苦痛な会」の答えがあまりに酷いものだったので、会場からは「ええええええっ」という反応と爆笑が。非道すぎる!

 今回の「文七」は、一年前の前回に白鳥が演じた新作の中で、一部出てきた「文七」を聞いた三三からのリクエスト。女性版ということだが、別に左官の長兵衛がお長になるわけではなく、娘のお久視点で演じるもの。

 師匠の「文七元結」にならったのか、文七とお久が初めから恋仲で、親に紹介する一歩手前で起きた事件という設定。冒頭恋人同士の会話の中で、囲碁好きの文七が思いを遂げるためにいま囲碁断ちをしているという話が出てくる。それなのに水戸様のお屋敷でつい・・・という流れにつなげるわけだが、お久視点なので、当然ながら身投げのシーンはほとんどでてこず、文七と夫婦約束をしているにも関わらず、父親の借金のために佐野槌に身を売りに行くお久と、佐野槌の女将のやり取りがメインになる。

 ここで白鳥が「しどきん」という言葉を連発するので「?」と思いながらも聞き流していたら、中入りの間に今日の客から白鳥の携帯に「支度金はしどきんではなくしたくきんと読みます」というメールが入ったそうな。きょうび報道で「忖度」という言葉を聞かない日は無いと云うのに、相変わらずというかなんというか。落語家と云うより社会人としてどうよ!

 そのほかにも「うん?」「ええ?」と首をかしげる箇所がいくつかあったが、総じて云うなら面白いんだけど、あんまり女性視点にした意味がない、のでは? まあとにかくオープニングトークで「今日はアニさんが大ネタの『文七元結』を」と振った三三に、「『文七元結』って面白い噺じゃねぇだろ!」と返した、それに尽きる。

<中入り>

●三三 「天使がバスで降りた寄席」

 今回三三は白鳥から過去の音源をいくつか渡されたそうで、その中から選んだのが川柳川柳トリビュートのこの作品。もうずいぶん前に横浜にぎわい座の白鳥独演会で聞いている。白鳥の新作の中でも大ネタではあるまいか。それにしても三三と白鳥の新作は親和性が高い。オープニングトークでもふたり並んで「最近白鳥アニさんの方に近づいている」と云っていたが、返す白鳥は「オレは近づけない。オレが近づこうとすると、越えられない(古典落語の)壁があるね!」。まあ入れ事満載、とばしまくりで、実に三三自身が楽しんでいる。最後にお約束のブログやSNS御法度指示が飛んだので、詳細については不問で。

 次回の宿題については、後日白鳥HPで発表があるとのこと。